01:32 パーソナリティ症の要素
02:48 A群
04:26 B群
05:38 C群
今日は「パーソナリティ症旧人格障害」について解説します。
昔は「人格障害」と言われていましたが、人格に問題があると言ってしまうのは倫理的に問題があるのではないかということで、「パーソナリティ症」と呼び名が変わりました。
パーソナリティ症の概念はとても広いので、説明するのが難しいです。
なので、ざっくりと解説していこうと思います。
■パーソナリティ症の要素
パーソナリティ症は下記AFのつの要素から成り立ちます。
A. 認知、感情、対人機能、衝動性
このつが「人格機能」のメインとされ、そこに問題があるのではないかということです。
B. 社会生活全般において問題が認められる
C. 社会生活に障害がある
D. 成人期早期から18歳以降、一時的なものではない
E. 他の病気ではない
F. 薬物が原因ではない
具体的にどのような病気があるかはA群C群のつに分けられます。
■A群
A群は「統合失調症」に似たパーソナリティ症ということです。
・妄想性猜疑性PDpersonality disorder
「自分が攻撃されているのではないか」という漠然とした被害的な妄想を抱き続け、 ようなことになります。
・シゾイドスキゾイドPD
孤立を好みます。人との交流を好まず、一人でいるのが楽。
・統合失調症型PD
上記つの特徴を少しずつ持っていて、かつ奇異なものです。
「宇宙、魔術、魔法、スピリチュアル」などを好み、変わった服装をしたりします。それが慢性期の統合失調症ではなく漫然とあるという形です。「変わった人」という感じです。
ただこれは、パーソナリティ症と診断していたけれど統合失調症に診断が変わるケースも結構あります。
■B群
他人に攻撃が向かう、意識が向かうタイプのパーソナリティ症です。
・反社会性PD
俗に言う「サイコパス」と呼ばれる人です。他人への共感性が低く、自分の利益のために他者を利用します。暴力的なものを好み、法律を無視します。
・境界性PD
対人関係が不安定で、衝動的です。その衝動性が自傷、過食など自分に向かいます。
・演技性PD
他人から注目されることを求め、注意を引くために、演技的な行動をとります。
・自己愛性PD
自分のことがとても大事で、誇大的、自分には才能があるという思いに取り憑かれています。
■C群
自分に向かうタイプです。
・回避性PD他人と距離を取る
・依存性PD依存的
・強迫性PD強迫的
依存性というのは面倒を見てもらいたいと他人にしがみつく、人と離れるのが不安だという「分離不安」があったりしますが、B群とは違います。演技性の方がより行動的です。
強迫性はこだわりが強く、完璧主義、融通がきかないタイプの人です。
以上、10個がパーソナリティ症になります。
今回はパーソナリティ症について大まかに解説しました。
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『精神科医がこころの病気を解説するChとは』
一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的専門的な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック 益田裕介
『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年早稲田で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第版
医学書院 DSM5 精神疾患の分類と診断の手引