15 YouTube views, likes subscribers in 10 minutes. Free!
Get Free YouTube Subscribers, Views and Likes

小尾研究室:理論・実験・シミュレーションで乱流現象を科学する

Follow
慶應義塾 Keio University

小尾研究室では、乱流現象の計測とモデリングを主なテーマとして、そこから派生する新たな計測手法やコンピュータシミュレーションなど様々なトピックについて研究を行っています。
我々の生活は水や空気をはじめとしてあらゆる場面で流体と接し、利用しています。なかでも乱流現象は運動が複雑で、一見するととても予測など不可能ではないかと思わせるものがありますが、理論は成熟しているし、工学的には加熱、冷却、物質の混合などの様々な場面でこれまで多くの経験が蓄積されており、高速計算機によるシミュレーションも様々な機器の設計に役立てられています。

Q「最近では、乱流を制御しようという試みがあります。昔から知られているのはゴルフボールの表面についているディンプルという凸凹です。これは古典的な流れの制御の一つなんですが、ああいった事の他に、乱流というのは身近にあるもので、摩擦抵抗を非常に増やしてしまいます。摩擦抵抗が増えるとどうしてもエネルギーの効率上よくない一方で摩擦状態にあった方が熱交換や物質輸送、混合などにおいては良いということがあります。ですから混合を良くするという乱流の良い性質を保ちつつも抵抗を減らすような制御をしようということを考えています。乱流というのはただ乱雑だというだけではなくて構造があります。構造というのは具体的には渦のことですが、どんな形の渦をどのくらいどのように配置することができれば抵抗が減らせてしかも役に立つ流れができるのかというのが考えられるようになりました。」

この研究室では、過去にはタービンやポンプなどの流体機械の性能に関する実験を行っていました。実験室で船舶用のターボチャージャーをまわして性能評価をしたり、羽根の形に工夫をして改良をしたりといったことが経験則に基づいて行われていたのですが、近年は計測器やコンピュータの性能が向上したためにそのような流体機械の内部でどのような流れが発生しているかを調べることが可能となりました。

Q「コンピュータの中に入っているハードディスクは密閉した容器の中でディスクが毎分1万回転くらいの高速で回っています。ディスクが回ることで空気が中で引きずられて一緒に回転します。その空気は典型的な乱流状態になります。乱流状態になれば当然速度や圧力が変動するのでディスクそのものを加振したり、データを読みにいくアームに加振力となって作用します。」

ディスクが発生する乱気流はディスク ヘッド間の位置決め精度に悪影響を及ぼし高記録密度実現の妨げとなります。研究室ではアームやディスクに関連する空力特性くうりきとくせいを実験とシミュレーションによって調べ、製品改良の手助けとなる情報を提供しています。

Q「流体力学というのはほとんどの学生が大学で初めて勉強する学問で、数学的にも偏微分方程式という力学の中では複雑な方程式を使います。ですので、この研究は一見すると非常に取っ付きにくいんですが、人が思いつかないような渦を作るとか渦をつぶすとかいったほんのちょっとした工夫ですごく大きな効果が出るようなこともあるので、そういったところが面白くやりがいのある点だと思います。」

乱流のモデルとは、流体の運動を表す偏微分方程式に現れる半経験的な未知数を別の方程式で表す手法で、そのためには導いた式を実際に解いたり、解いた結果を実験と比較したりする必要があります。その場合、複数の大学の研究チームがお互いの結果を比較したりする活動が必要で、小尾研究室ではヨーロッパの大学チームなどとも実験データを共有するなど共同研究を行っています。

posted by crydaynapm1