「十牛図に学ぶ」と題して、十五分ほどの短い講義を五回にわたって続けようと思います。
十牛図は十枚の絵で説かれているもので、一回で二枚ずつ講義をしてゆきます。
漢文を画面で示していますが、一字一句解説してゆくと難しなり、また時間もかかりますので、漢文を示しながらも、その意味するところを意訳しながら、説いてゆきます。
真の自己を探すとはどういうことなのか、皆さまとご一緒に学びたいと思います。
横田南嶺
十牛図は、「本当の自分」を牛にたとえて探していく旅です。
「本当の自分とはどういうものであるのか」ということを十枚の絵を通して、探し求めていく旅が禅の智慧として受け継がれてきました。
真の自己を尋ねる旅を、牛を探してゆく道として表しています。
十枚の絵とそれぞれ漢文の「序じょ」と、漢詩の「頌じゅ」があります。漢詩の「頌じゅ」は、廓庵師遠かくあんしおん禅師が作り、漢文の「序じょ」は、慈遠じおん禅師がのちに付けました。
一、尋牛 (じんぎゅう) 牛を探しに旅に出る
二、見跡 (けんせき) 牛の足跡を見つける
三、見牛 (けんぎゅう) ようやく牛を見つける
四、得牛 (とくぎゅう) 野生の牛はすぐに暴れ出す
五、牧牛 (ぼくぎゅう) 暴れる牛をいかに飼い馴らすか
六、騎牛帰家 (きぎゅうきか) 牛に乗って故郷に帰る
七、忘牛存人 (ぼうぎゅうそんにん) 飼い馴らした牛は忘れてしまっていい
八、人牛倶忘 (じんぎゅうぐぼう) 人も牛もいないゼロの世界
九、返本還源 (へんぽんげんげん) 無の世界から有の世界へ還る
十、入鄽垂手 (にってんすいしゅ) 町に出て人々のために働く
十牛図は、牛(自己)を探して旅が始まりますが、牛を探して見つけてつかまえるところで終わりません。その後も段階が続きます。
その牛もいなくなり、自分もいなくなり、何もなくなって、そこから更に現実の世界が現れて、最後は町に出て大いに人のために働いていきます。
自己を得て終わりではないです。その自己さえも捨て去って、現実の世の真っただ中に出ていって、人の為に尽くしていくことを記してくれています。
(『十牛図に学ぶ 真の自己を尋ねて』より)
お手すきの際にご覧ください。
■十牛図に学ぶ 真の自己を尋ねて / 横田南嶺
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【「本当の自分とは」十牛図に学ぶ 真の自己を尋ねて】
其の一 • 「本当の自分とは」【十牛図に学ぶ①】一、尋牛 / 二、見跡 臨済宗円覚...
其の二 • 「本当の自分とは」【十牛図に学ぶ②】三、見牛 / 四、得牛 臨済宗円覚...
其の三 • 「本当の自分とは」【十牛図に学ぶ③】五、牧牛 / 六、騎牛帰家 臨済宗...
其の四 • 「本当の自分とは」【十牛図に学ぶ④】七、忘牛存人 / 八、人牛倶忘 ...
其の五 • 「本当の自分とは」【十牛図に学ぶ⑤】九、返本還源 / 十、入鄽垂手 ...
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全編 • 【初めての坐禅】全編
其の一 「足の組み方」 • 【初めての坐禅】其の一足の組み方
其の二 「上体の調え方」 • 【初めての坐禅】其の二上体の調え方
其の三 「呼吸の調え方」 • 【初めての坐禅】其の三呼吸の調え方
■【国宝舎利殿】特別公開
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■「祈り」新型コロナウイルスの収束を願い
• 「祈り」新型コロナウイルスの収束を願い 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師
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