高速のカッティングから始まる、今回の教典で最もキャッチーなナンバーです。第三教典と同日に
小教典としてシングルカットもされました。複雑なリズムで刻まれるこのカッティングのフレーズ
にいきなりノックアウトされます。ゆったりとしたAメロから一転、クリアトーンのアルペジオ
のBメロ、跳ねる様な譜割のサビのリフ、オリエンタルなスケールで構成されたフレーズのリードギター、
32分音符という超々高速なタッピングにトリッキーな速弾きと、実に数多くの代官渾身のアイデアが
仕掛けられたフックだらけのナンバーです。

世界観が相俟って異国情緒もたっぷりです。聖書をヒントにしているので、当然と言えば当然ですね。。

尤も、原典である聖書と唱えてる内容は全く別です。蛇に唆され、タブーとされた禁断の実を食べて
しまったエヴァが、神の逆鱗に触れ、番(つがい)のアダムと共に楽園を追放されるのが失楽園での顛末です。
ですが、こちらは禁断の実ならぬ、「悪魔の果実」なのです。食べたせいで智恵が付き、自身の
裸の姿に恥じらいを覚え、イチジクの葉で互いに局部を覆った二人という失楽園の経緯とは対照的に、
欲望の解放を訴えてるのがこの曲の「教義」なのです。
「脱ぎ去れ」「解き放て」と。「一糸纏わぬ姿であれ」と説いているのですね。
原典と真逆の教えです。
実に、悪魔の為せる所業です。

安直な、神話や教義の引用などで済まさない閣下の抜きんでた想像力、豊かで意表を突くアイデア、
クリエイティヴィティはこの頃既に完成されているんですね。
やはり、凄い人は最初から凄いんです。・・・人じゃなくて悪魔だけど。

余談ですが、本ナンバーは聖飢魔IIにとっての第二弾PV(活動絵巻)に選出されており、そこでは大胆に
お召し替えを遂げられた構成員諸兄のお姿を拝見出来ます。
先ず、ベース担当のゾッド星島親分がゼノン石川和尚にメンバーチェンジされた点が最も大きな
出来事です。それまでの、聖Ⅱで最も大柄な躯体を活かした、凶悪で激しいステージングとパフォ
ーマンスが魅力だったゾッド親分に対し、フィンガリングピッキングでいぶし銀なオーラを放ち、
黙々とベースを奏でるゼノン和尚の渋さ。頭から飛び出た角と鎖の付いた首輪。それに毛皮のブーツが
牛の様で、どこか可愛らしさが漂うそのルックスには親分とは対照的な魅力を感じます。
そして、それまでモヒカンヘアーに銀色の顔という、聖Ⅱで最もパンキッシュだったライデン殿下のお姿。
石川五右衛門の様な髪型に、他の構成員と同様の白いお顔に変貌を遂げられたのは、実はここからなのです。
より、「雷さま」らしいルックスになり、これがご自身気に入った様で今に至るお姿になります。
長官と閣下は、比較的従来通りのお姿。
そしてそして。この曲の作曲者、ジェイル代官です。デビューから前作までの、薄着の鋲打ちベスト
にヒョウ柄のブーツというお姿から一変。今に続くまでお馴染みの、赤と黒のストライプの羽織状の
ジャケットに白いロングブーツという、実に目を惹く鮮やかな出で立ちにお召替えをされました。
使用されるギターも、この戦闘服聖Ⅱで衣装の事は「戦闘服」と呼称しますの色彩に揃えた、
白地に赤と黒のストライプをテーピングで施したアリアプロⅡに変更された為、このギターを構えた時の、
「戦闘服」との調和は非常に素晴らしく、とても美しい代官を堪能出来ます。
PVに於いて、全構成員の中、やはり一番目を惹かれます。そしてリードギターを弾く際は、尋常
では無い格好良さを披露してくれます。レンタルビデオで観てた当時、聖飢魔IIをそれ程知らない
姉がたまたま同じ部屋にいて、「この人ギターの弾き方凄くカッコいいね〜」と食い付いた程です。

「人じゃない悪魔だ」

と云いたい所をいちいちクッソ面倒なのでスルーしましたが(笑)
この時は素直に嬉しく思いました。

作詞　デーモン小暮閣下
作曲　ジェイル大橋代官

追記ヴァースリフAメロ時の伴奏の、エース長官によるワンギターのリフとライデン殿下
のドラミングが、レッドツェッペリンの”移民の歌”に合わせたモノととあるサイトで見掛け

あーーーーホントだーーーーーーー

と驚く経験を最近しました。こ・れ・だ・けたくさん聴いて来たのに。ギターのコピーまでして
来たのに。リズム、譜割が同じ、という事です。音階は違いますからね。

全く一切気付きませんでした笑　

まだまだ新しい発見がある程に、深みと厚みのある曲がズラリと揃ったバンドなんだなぁ聖Ⅱよ
と改めて惚れ直しましたね。。